NIKKEI InnovationLab

研究テーマ

自然言語処理

人工知能(AI)でラボが最も注力するのは、言葉をコンピューターで処理する自然言語処理です。この分野で日本経済新聞社は決算記事の自動生成や日英翻訳などをすでに実用化し、日経電子版や日経テレコンの機能・サービスとして提供しています。ラボは今後も既存の技術や機能に磨きをかけるほか、新しい用途の調査・研究を進めます。例えば、膨大な情報の海から意味のある情報を抜き出して記事を瞬時に要約したり、ユーザーのニーズや属性に的確にマッチした記事を推薦したりするような技術・サービスの実用化を目指します。

画像処理

AIのディープラーニング(深層学習)の進化に伴い、画像から学習する機能が飛躍的に向上しています。ラボでは静止画やその連続データである動画から、人物の顔や物体などをAIで自動認識する技術・サービスの研究開発に取り組んでいます。画像処理技術がAIでさらに高度化すれば、メディア企業は従来人手に頼っていたタグやキャプションの付与・生成などを大幅に合理化・省力化することができます。最終ユーザーにとっても、動画ニュースや映画から特定の人物が登場するシーンをピンポイントで呼び出すといった新しいコンテンツの楽しみ方が可能になります。

音声処理

AIの音声処理技術で、人間がスマートフォン(スマホ)など機械に声で命令を出したり、質問をしたりすることが一般的になりつつあります。音声認識機能を備えたAIスピーカーも本格的な普及期を迎えており、朝起きると音声で最新ニュースや天気予報をチェックするといったライフスタイルが広がると予想されます。ラボはAIを活用した音声認識システムや音声合成などの研究開発を加速していきます。

ビッグデータ

ビッグデータを活用した解析技術の研究開発もラボの重要テーマです。既に日経各紙の記事情報や日経平均など主要な市場指標、企業財務データなどを基にビッグデータを解析する技術・サービスの研究開発に取り組んでいます。今後は日経が蓄積した膨大な記事・数値データからユーザーにとって意外性のある事実を発見したり、様々なデバイス経由で収集したデータを収集して経済動向などを予測したりするなどの研究開発を強化していきます。

AR(拡張現実)

実在する空間にバーチャルなコンテンツを重ねて表示することで、仮想的に目の前の世界を拡張するARは、次世代のIT業界の主戦場になると予想されます。米グーグルやアップルもコンテンツやスマートフォン(スマホ)アプリの開発強化に動いています。ラボも早くからARの将来性や可能性に着目、研究開発を進めてきました。その成果の一つは、日本経済新聞社が2018年11月にリリースしたスマホアプリ「日経AR」で、新聞記事や広告からARコンテンツを表示することができます。対応デバイスやコンテンツの開発も含めて、ARは今後もラボの重要な研究開発テーマとなります。

VR(仮想現実)

VRはメディアの新しい表現方法として注目を集める次世代技術です。立体的に奥行きのある映像を利用者が視聴することで、日常とはかけ離れた環境にいるような没入感を得ることができます。2018年秋に東京・六本木の国立新美術館で開催された「ピエール・ボナール展」(日本経済新聞社など主催)では、ボナールが描いた風景や部屋をVRで追体験できるコーナーを設け、注目を集めました。ラボの研究員がフランスに出張。360度カメラを使って現地で撮影した画像を持ち帰り、VR処理しました。引き続きデバイスやコンテンツの調査や研究開発を進めます。

5G(次世代通信規格)

次世代通信規格の「5G」が2020年以降に国内各地で商用化すれば、従来の通信速度の最高100倍の無線通信サービスが可能になります。現行の「4G」ではサービスの普及が遅々として進まなかったAR・VRや、音声・画像認識などのAIを使った機器・関連サービス、ビッグデータ解析などが本格的な普及期を迎え、既存のIT業界のパラダイムを根底から塗り替える可能性があります。5Gは新しいデジタル時代の共通基盤となることから、ラボでは関連技術や業界動向、波及効果などを調査研究していきます。

IoT

5Gの商用化やAIの技術革新を背景に、あらゆるモノがネットにつながるIoTは今後の情報社会を支えるインフラになりつつあります。今後は自動運転や製造業、一般家庭などに広がると予想されます。一般消費者にもわかりやすい事例は一般家庭向けのAIスピーカーで、日経電子版もポッドキャストなどを通じて記事配信を強化しています。ラボはネットにつながる各種機器・デバイスの最新動向を調査するほか、IoT関連技術・サービスの実用性や有用性を検証しながら機動的に研究開発を進めていきます。

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